新聞紙面の中で、挿絵の在り方とは一体何だろう?
絵は、どのような役割を持つだろう?
私の作品にはどんな作用があるだろう?
そんなことを考えつつ、いや、ある時は全くそんなことを無視しながら、 原稿を落とさないよう、3年間、西日本新聞『読者文芸コーナー』の挿絵を 担当させて頂きました。
見る人の存在や、絵を見た人がどう感じるだろうか?という事を、 描く前からこんなにも意識して制作したことは今までなかったので、 題材を選ぶのに戸惑うことも多くありました。 その中で、出来るだけ私の大事にしているものを発信していこうと努めました。
前半の水彩画は、彩色がありながらも紙面はモノクロ掲載である為、 濃淡を意識して、どのような表情がでるのか毎回掲載が楽しみでしたし、 後半のモノクロの作品では、元々好きだった画面の構成に、 様々な視点から挑戦できたように感じます。
75枚、どの作品も、作業中の想いや、筆の感触、悩みや達成感、 色んな思い出が湧き上がってくる愛すべき作品達です。 新聞紙面からでは見えなかったものを、原画から感じて頂けましたら幸いです。
3年間、多くの経験ができ、また、これからの制作に繋がるヒントや、 新しい発見することが出来ました。 いつも応援して下さった方々、関わって下さった全ての皆様に感謝申し上げます。
2016年4月 金子 恵