西日本新聞掲載作品『脱け殻セミット』

mkaneko_090114セミの脱け殻をモチーフに何か描きたいと思っていましたが、
内容がなかなか決まりませんでした。

はじめはブローチみたいに肩や胸に脱け殻をのっけて、
夏のおしゃれ♪みたいなことを描いてみたかったのですが、
肩や胸辺りを描くと、脱け殻をかなり小さく描かなくてはならず、

だからといって脱け殻を大きく描こうとすると、
肩や胸が大きくなりすぎて何を描いているのか分かりにくく、
構図的に断念しました。

モチーフに、ストーリーと、「何をしているのかな?この後どうなるのかな、、、」
というような要素も入れたくて
セミたちが話し合いをしているという設定にしました。

【G8】というタイトルがすぐに浮かんできて、
(しかも脱け殻。中身はどこへ?)
なんだか珍しくポリティカルな内容になりそうでした。
描いていると、そんな気持ちは飛んでいってしまい、
その形の面白さと、神秘性と、
今は本体は飛び立っていったにもかかわらず、
その存在感に、脱け殻を触るのが怖いくらいでした。

今にも本当に動き出しそうで、
扇風機の風でコロンと転がる度に、ぅわっ!!っと怯えていました。

中身は居なくなっているけど、
このフォルムに何か宿っている感を残しまくりで、
もしかセミの脱け殻彫刻を作るならば
こんなにも魂を宿らせることは、
この脱け殻の主には誰も敵わないかもしれないです。

触覚も、目も、口のあたりから出ている髭みたいなやつも、
そのまんま脱皮したなんてすごいです、
身体どれだけ柔らかかったんだろう?
アブラゼミなんかは一生のうち4回も脱皮するらしいけど、すごいな!
作品四つ!

手のしがみ付き力がものすごいものです。
これなら木を垂直に上っても、逆さになっても大丈夫なはずです。

構成して描いていると、今年はどうだったとか、来年の夏はどうのこうのとか、
セミ達のお話が聞こえてきそうでした。
G8は止めにして、ダジャレのタイトルを入れてみました。

虫が本当に怖いのですが、公園で脱け殻をみつけるのが楽しかったです。