西日本新聞掲載作品『水平線を飲みほす時』

mkaneko_091514部屋の中での飲食と、
屋外でのそれが、こんなにも違うものだということをとても感じて
描いた作品です。

グラスから口に入ってくる飲み物の感じ方が、
グラスによってとんでもなく違ってくることは、
パート・ド・ヴェールのグラスで初めてお水を頂いた時に強く感じました。

例えばワイングラスであれば、
あのカーブと、唇に当たるガラスの薄さが決定している美味しさが
絶対あると思います。

そういったこととはまた別の作用で、
場所が変わると感じ方が変わる、
壁一つの違いで、
一歩外へ出て外の空気を感じることが、
いつもとは全く違ったことになるという体感でした。

知るということは、
新しい言葉を覚えるとか、
物事の意味を理解するとか
勉強してわからない事を学ぶとか、色々あるけど、
「体感する前に知ってしまっている」というような事って多いと思います。

愛というものを知る前に「愛」と言う文字を習って知っている、みたいな。

私の「知る」の中で一番強い「知る」だったので、
この一杯は、宇宙を感じました。
美味しさが身体に吸収されました。

この一杯に、
地球上の水というもの全てを重ねたような気持ちになって、
水平線と重ねて描きました。
ちょっとかっこつけなキザな感じになったけど、
それが言いたかったのでいいです。

新聞社の方から、(前回の脱け殻セミットの時から)スキャンが新しくなって、
今までの出力と違う雰囲気になることをお聞きしました。

水彩での水面の表情があまり出にくい感じでしたが、
頑張っていただきました。
濃淡を考えながら、
また次回も水彩で提出させてもらおうと考えています。